統計ソフトの言及数推移
学術文献における統計解析ソフトの言及数を,最近の約10年間で年ごとに調べてみました.
方法
Google Scholarを利用して,以下の検索クエリを含む学術文献数 (概算) を,2000年から2012年までの期間で取得した.得られた数値は,R,Bioconductor,SPSS,Excel にそれぞれ言及した学術文献の出版数とみなした.- "R Development Core Team"
- "Bioconductor"
- "SPSS"
- "Excel"
結果
結果は表と図に示す通り (図は対数表示).RとBioconductorの言及論文数が増加しており,SPSSとExcelはほぼ横ばいまたは微減であった.表 各統計ソフト言及学術文献数の年推移
年 | R | Bioconductor | SPSS | Excel |
---|---|---|---|---|
2012 | 17500 | 4060 | 72800 | 88500 |
2011 | 13400 | 3380 | 66500 | 85500 |
2010 | 9480 | 2900 | 91300 | 121000 |
2009 | 7090 | 2410 | 126000 | 151000 |
2008 | 5280 | 2090 | 143000 | 165000 |
2007 | 3570 | 1560 | 161000 | 171000 |
2006 | 2210 | 1190 | 166000 | 175000 |
2005 | 1210 | 971 | 167000 | 159000 |
2004 | 354 | 385 | 149000 | 154000 |
2003 | 91 | 162 | 125000 | 130000 |
2002 | 42 | 36 | 96000 | 107000 |
2001 | 24 | 17 | 71100 | 85000 |
2000 | 7 | 8 | 43000 | 63400 |
考察
結果より,RやBioconductorを利用した,もしくは視野に入れた学術文献の絶対数は,ここ10年間程度で着実に大きく増加してきていることが強く示唆される.ただし,以下に示すような留意点もある.
- Google Scholarにおけるヒット件数が言及学術論文数とイコールになるとは限らない.特にRの検索クエリはRを「正しく」引用するときに用いる一連の語句だが,他3者はその統計ソフトウェアの名前自体をクエリとしているため,Rの言及数は過小評価されている可能性がある.
- 学術文献全体の出版数が不明であるため,相対的な出版数については増減の判断がつかない.
参考
Google Scholar本エントリはKashiwa.R#7で発表した内容を元にしています (Kashiwa.R#7特設サイト).
Kashiwa.Rについて: #7へのイントロダクション (Kahiwa.R#7発表スライド)